『我的印象北京、2005年。(11)』ジュリアス・スージーさんの日記

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ジュリアス・スージー (男性・東京都)

日記詳細

石壁の細い路地を歩く。家の前には練炭の束が積まれている。懐かしい黒く、優しい墨の塊。ところどころ(引っこ抜かれるように)家が壊されている。3人のガキどもがじゃれあっている、ぶつかりあって、笑い声をあげ。小窓から夕餉の匂いがする。壁の向こうに暮らしの気配がする。ちいさな家、ちいさな暮らし。故同(フートン)、それは路地のことで、それが地名になっていて。まるで現在のなかの過去のような、そんな故同で、ぼくは一瞬立ち止まり夕餉の匂いを嗅いだ、夕空の下で。





三里屯にあるタパスのお店でランチを食べる予定だったけれど、行ってみたら目指した店は閉まっていた。三里屯はライヴハウスやジャズ・バーやクラブのあるエリア。「このあたり、おしゃれじゃん!」とぼくが言うと、みちるさんは、「夜には鳥女も現れるのよ」と言った。「鳥女って?」とぼくが訊くと、みちるさんは答えた、「夜の鳥。シーツのあいだの空をひらりひらりと飛ぶのよ。」




おれは鳥女をおもい描いた。鳥女の羽に包まれたらきっとあたたかいだろうな。ふかふかして。やがて鳥女は羽を拡げ、夜の闇におれを連れ去るだろう。月明かりの下、木立を抜け、雲と雲の隙間を縫うように。朝起きたらベッドにはぼくひとり、シーツには緑や黄色の綺麗な羽がいっぱい。ぼくは目やにだらけの目で、コーヒーを淹れ、シーツに散乱する綺麗な羽を見ているだろう。



しばらく歩いて行くと、家具を売る店があったり、煉瓦作りのアパルトマンが並んでいたり。おばあちゃんが路地に椅子を出して、うららかな日を浴びて、派手な靴下を編んでいた。彼女が編んでる靴下はド派手なピンク。もっと歩いてゆくと、おいしそうなパン屋が現れたり、ケーキ屋が現れたりした。ぼくは冬曇りの空を見上げ、鳥女の姿を探した。





https://www.doom.now.cc/rvwr/000436613/diarydtl/170299/へつづく

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