『 思い出「追記:一枚の写真」』sequenceさんの日記

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巷談「安酒、気楽酒、色気酒」

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今、此処に一枚の白黒写真を久しぶりにアルバムからめくる。50年以上も前ので写真である。
店の前に止めた一台のジープだけの写真である。。その店とは少年の祖父母から代を引き継いだ叔父の店である。店は酒、たばこの販売が主流であるが食料品、菓子、日用雑貨、文房具、プラモデル、釣り針なども置いてあり、当時の片田舎によくあった万屋である。所謂、何でも屋である。夏の時季は物干し棹を店内に吊るしてに幾つもの膨らました浮輪や水中メガネを吊り下げて売っている。


その日は双眼鏡を持って水銀灯に登った。虫取りが終わり白く明けて来た早朝の浜に双眼鏡を向けるとゴムボートに空気を入れるカップルの姿があった。
大きく膨らんだボートに男女は楽し気に乗り込み沖合に向かってサングラスをかけた男がオールをかき始める。。ボートには釣り竿も乗っている。静かな夏の波の遠くへとボートは進んで行く。。この時季にはキスが手軽に釣れるのである。
双眼鏡を離して少年は水銀灯を降りる。

店に戻った少年は朝食が終わり海へ行こうとして店先に佇んでいると一台のジープが止まりサングラスの男だけがひとりで降りて来た。不思議な事に同乗者は他にいない。。
少年は急いで部屋までカメラを取りに行きシャッターを押した。
それはジープから降りて来たサングラスの男の雰囲気に覚えがあり、咄嗟に起こした行動であった。カメラは叔父からもらった少年向けの扱いやすい品物であったがメーカーはそれでもニコンだったような記憶がある。

その翌日、少年は東京へ帰った。
帰郷、3,4日後に5,6キロ離れた隣町の沖合に身元不明の女性の溺死体が漁師の網に引っ掛かって発見されたと言う話が少年の耳に入って来る。

胸騒ぎを感じた少年は双眼鏡から垣間見た光景を両親に告げる。
しっかりとナンバープレートが写っている一枚の現像写真が犯人逮捕の決め手となった。。
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