フレディ父さんさんのマイ★ベストレストラン 2017

レビュアーのカバー画像

『一福延寿』日々のちょっとした喜びに感謝。

メッセージを送る

フレディ父さん (60代後半・男性・岐阜県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

2017年は、多くの方々との出会いが、なによりも心に残る一年でした。

食べログレビューを通じて交流することのできたレビュアさま、
直接お目に掛かって楽しいひと時を過ごさせていただいた方や、
コメントのやり取りでご教示いただいたり元気付けていただいた方、
どれだけお礼を申し上げても足りません。
そんな中、お伺いして印象的だったお店を中心に選びました。

素晴らしい出会いの場を提供していただいた、お店と食べログに感謝します。

マイ★ベストレストラン

1位

そば切り 無双 (亀崎 / そば)

2回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2017/12訪問 2017/12/30

再訪 双ぶもの無き蕎麦

 師走としては穏やかな日和となったクリスマス・イブの日曜日。仕事で半田市に出向いて、再び「そば切り無双」を訪ねました。

 正午を過ぎて到着したので店内は盛況です。ほとんどのお客さんは家族連れで、小さな子供や赤ちゃんを連れた方も少なからず見受けられました。それが自然に感じられるアットホームな雰囲気は、店主の人柄によるものでしょうか。入口を入ったところで、席が空くのを待たせていただきましたが、間もなく外にも行列ができました。店の方々は次々訪れる来店客の対応に大わらわです。店主はてきぱきとオーダーをこなしながらも、「クリスマスに蕎麦は似合わないと思うけどなあ」と軽口をたたいて場を和ませます。

 女将さんは、一か月以上前に一度訪ねたきりの私のことを、すぐに気付いてくれました。「お仕事中ですけど、時間は大丈夫ですか」と気遣って声を掛けてくださいます。大丈夫ですよとお応えして、店内を眺めていると、カウンターの隅に置かれたシフォンケーキに目が留まりました。クリスマス限定のサービスのようです。スポンジの色あいから、蕎麦粉が混ぜてあるのかと思ったら、そうではありませんでした・・・なんと、蕎麦粉100%のシフォンケーキなのです。それでいて、ふっくらとした仕上がり。こちらは女将さんの腕前でしょうか。

 この日の注文も、ざる蕎麦と小天丼でした。まずは小天丼。薄味だった天丼のタレは、気持ち甘みが加わってバランスが取れたように思います。続いて提供された蕎麦はよくある笊の器に盛られていました。前回、目を惹いた割り竹の器は、来年の春までメンテナンス中だそうです。私は器の手触りから焼き物だとばかり思っていましたが、本物の竹を加工したもののようです。これも店主の手作りと、品書きに記されていました。蕎麦はシャキッとした細切り、辛汁の加減も申し分ありません。安定した美味しさは、今年新たに出会った蕎麦の中では最高の水準といってよさそうです。

 蕎麦湯をいただき、デザートのシフォンケーキを味わって店を出ました。慌ただしい中、今回は叶いませんでしたが、次には訪ねる時間を見計らって、ぜひとも店主のお話を伺ってみたいものです。

 知多半島の付け根にあたる半田市亀崎は東方を衣浦湾に臨み、かつては漁業と海運の町として栄えました。神前(かみさき)神社の祭礼「亀崎潮干祭」は三百年を超える歴史があり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。古い建物が連なる街道筋では、空き家を再生して町を活性化する取り組みが開始されました。まだ数は少ないものの、古民家を活用した和風モダンのカフェなどがオープンして注目を集めています。そんな新しい潮流に、自らの夢の実現を賭けて手を挙げた方がありました。

 そば切り無双。今年7月、築百年を超える古民家に手を入れて、あらたに誕生した蕎麦店です。店主は元々、名古屋の総合病院で臨床検査技師を務めておられたといいます。勤務の傍ら名古屋の有名店「紗羅餐」が運営する蕎麦道場に通い、腕を見込まれて星崎本店で蕎麦打ちを任されるまでになられました。そこでさらに何年もの修行を重ねた末、満を持しての新規開店です。蕎麦好きが高じて店を開くという話は時々耳にしますが、ここまで入れ込む方は少ないのではないでしょうか。

 11月のある日、初めてこちらを訪ねることができました。早い時間ということもあって店内は半分ほどの入り。カウンターの端に着いて店の様子を窺いました。顔見知りとおぼしきお客様は、厨房の店主とカウンター越しにお話しされています。陽気な店主は根っからの蕎麦好きと見えて、蕎麦の話を始めると止まらないようです。屈託のない話しぶりに、傍で聞いている私も楽しい気分になりました。

 ざる蕎麦と小天丼を注文し、蕎麦茶をいただきながら、しばし待ちます。まずは小天丼が提供されました。丼の中央で海老がぴんと跳ねています。最近こういう盛りつけを目にすることが多いのは偶然でしょうか。天ぷらはカラリとよい揚がり具合です。ご飯には蕎麦の実が和えてあり、独特の食感がありました。天丼のたれは控えめ。蕎麦の風味をさまたげないのは好感が持てます。薄味に少々物足りなさを感じる向きもありそうですので、味加減を整える塩などが卓上にあるとよいかもしれません。

 ざる蕎麦は割竹を模した焼き物で提供されます。北海道深川・多度志産の新蕎麦は外二で打たれ、紗羅餐仕込みの端正な細切り。きわめて瑞々しい仕上がりです。風味、喉越しともに申し分ありません。辛汁もまた紗羅餐に近い印象で、どちらかといえば辛口ですが、江戸前のつゆほどにはかえしが強くありません。私自身はもう少し甘味を感じるほうが好みですが、バランスはよいでしょう。総じて最高クラスの蕎麦であることは間違いありません。

 これほどにも夢を感じさせる店に出会えたことを、とても嬉しく思います。そういえば、衣浦大橋の東岸・高浜市には「歳一六」がありました。こちらの店主は元地方公務員だったそうです。そして、ともに第二の人生を蕎麦打ちに賭して、きわめて高い水準で自己実現を果たしておられます。これは、あと何年かで同じ年齢に達する私自身にとって大きな励みとなります。私にはとても真似できない世界ですが、こうして夢を追いかけておられる先達があることで、自分自身を鼓舞することができるように思います。

 アラカン、頑張らなきゃ!

  • 端正な細切り
  • 外二の蕎麦
  • 小天丼

もっと見る

2位

飛車角行 (蛍池、大阪空港、柴原阪大前 / 日本料理、海鮮、居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2017/02訪問 2017/03/01

旨し酒 旨し肴と、良き人と

 久しぶりの大阪出張。本社で会議を終えて阪急梅田駅に急ぐ。いつもなら名古屋へとんぼ返りするところだが、今日はここからがメインイベントだ。梅田から急行で15分足らず。宝塚線蛍池駅で降り立ち、待ち合わせのお二人と落ち合うことができた。満面笑みでご挨拶を交わし、ささっ行きましょうと先を促していただく。こうして、この日初めてご一緒する及第クレーマー様、大阪ブラリーノ様との会が始まった。

 店はご当地のお二人に決めていただいた。ちなみに、お二人はご夫婦だ。いつもこの界隈や大阪駅前の居酒屋へご一緒に脚を運んでいらっしゃる。私より少しばかり先輩ということもあって、将来の理想の夫婦像を示すお手本でもある。そんなお二人の飛び切りお薦めの店が豊中市蛍池の飛車角だ。

 阪急蛍池駅から徒歩5分。通り沿いの小振りなビルの1階に店を構える。中に入るとカウンターと小上がり。奥行きがあるので意外に広い。小上がりに席が用意してあった。足元は掘り炬燵の要領で寛ぐことができる。まずは生ビールで乾杯。突き出しの蛸をいただくと、これが旨くて思わず目を見張る。お薦めの烏賊げそ天は、香りの良い出汁に浸して提供された。刺身盛合せ、蓮根餃子、鰤かま焼き、いずれも第一級の美味しさに自然と顔がほころんでしまう。

 ビールが空いて、次はどうしますかとおっしゃっていただいたので、ここは地元のお酒をお願いすることにした。まずは摂州能勢という、地名がそのまま銘柄になった純米酒。よく冷えた状態でいただくと、なんとも透明感のある清らかな味わいの酒だ。雑味は全く感じられず、良質の水をそのまま酒にしたような旨さがある。次に池田の酒・呉春。特吟と普通酒を飲み比べる。かつて川端康成や谷崎潤一郎が好んで嗜んだ酒なのだそうだ。先程の一献と比べると、より華やいだ印象を受けた。

 この後も、素晴らしい酒と肴がひっきりなしに続いて、この店の懐の深さを感じさせる。それに、ご一緒したお二人が人間的魅力に溢れていて、話題は絶えることがない。一度に人を惹きつけるお人柄には憧れすら抱いた。人間かくあるべし。人生の師との出会いに感動し感謝するばかりだ。そうこうしていると、あっという間に2時間半が過ぎた。まだ、名残惜しいのはやまやまながら、明日も仕事が控えている。止む無くここでお開きとして、店を辞することにした。

及第クレーマー様 大阪ブラリーノ様

 飛車角さん、本当に素晴らしいお店でした。地元の銘酒、ひとつひとつの肴の良さは言うに及ばず、お店の方々の気配り、そして心意気、すべてが店の空気に満ちみちていて、私は圧倒されっぱなしでした。これもきっと、日頃からお店と良い関係でいらっしゃるからなのでしょうね。お相伴にあずかることができたこと、心より御礼を申し上げます。
 いつか、名古屋方面にお運びになることがございましたら、ぜひともご一緒させてください。その時は、これほどのお店をご用意できるか、はなはだ覚束ないところでございますが、今から見当をつけておこうと思います。
 再びお目にかかれる日を、心待ちにしております。このたびは本当に、ありがとうございました。

 フレディ父さん 拝

  • 突き出しととりあえず生ビール
  • お刺身盛合せ
  • 烏賊げそ天

もっと見る

3位

金爾 (江坂 / 居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2017/07訪問 2017/07/16

心に残る夏の日の宴

 御堂筋線千里中央行き地下鉄は、梅田を出ると間もなく地上に現れて視界が開けました。待ち合わせ場所の吹田市江坂まであと少しです。今日は及第クレーマー様&大阪ブラリーノ様ご夫妻との再会の宴。さらに、初めてお目に掛かる女性レビュア byung様にもご一緖いただくことになりました。淀川の鉄橋を渡る響きとともに胸が高鳴ります。時刻は午後四時三十分。七月の陽はまだ高く川面にきらめいていました。

 本日お伺いするのは、お三方がよく知る「饂飩とお酒の店 金爾」です。江坂駅から徒歩五分。開店より少し早く到着しましたが、声を掛けて中に入れていただきました。奥の予約席に落ち着くと、いよいよ宴の始まりです。ビールで再会と出会いに乾杯し、喉を潤してひと息つきます。先付けは烏賊下足や生しらすなど四種類。続いて、お刺身盛り合わせをお願いしました。大阪の和食の名店出身というご店主の料理は、どれも手間が掛けられ美しい彩りです。

 ジョッキが空いたら次は日本酒で異論ありません。多彩な銘柄が揃うなかで、店主おすすめの辛口二種類を用意していただきました。
 『両関 Rz55 特別純米 Summer Evolution 』(秋田)
 『賀茂金秀 辛口純米』(広島)
 どちらも初めて目にする銘柄です。まず、両関をいただくと、辛口な中にもしっかり旨味がありました。ラベルとネーミングは現代風ながら、仕上がりはきわめて本格派の印象です。一方、賀茂金秀はキレのよい端麗辛口で、夏向きの爽快な仕上がりでした。なるほど、辛口二種といっても、性格が全く反対の酒を用意していただいたのでしょう。私は両関が気に入りました。

 料理はアラカルトでお好みのものをお願いします。定番の蓮根饅頭、するめの天ぷら。スイーツを思わせるほど美しく盛り付けられたポテトサラダに見とれてしまいます。そうするうちにも酒杯は進み、何をいただいたか記憶があやしくなってきました。太刀魚の幽庵焼き、うざくと続き、この店の看板でもある稲庭うどんで締めにします。喉越しよく、これもまた大層美味しくいただきました。

 五時から始めた酒宴ですが、たちまち三時間が経過していました。話には聞いていましたが、想像するよりもはるかに素晴らしい店でした。それに、ご一緒いただいた皆様の豊富な話題と深い人間性のおかげで、心から楽しいひと時を過ごすことができました。皆様には、どれだけお礼を申し上げても言い尽くせません。

 美味しい酒と肴に満足して店を後にすると、誰からともなく「ところで、次は・・・」という言葉が口をついて出てきました。

  • 純米 きらめき燦然 はじめの第一歩 雄町65
  • お刺身盛り合わせ
  • するめの天ぷら

もっと見る

4位

酒肴商店 アジト (池田 / 居酒屋、海鮮、ふぐ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2017/11訪問 2017/11/23

北摂で味わう飛び切りの酒と肴

 この日、大阪での出張を終えて、次の目的地・阪急宝塚線池田駅に向かった。改札を出たところでご当地の大御所レビュア・及第クレーマー様と大阪ブラリーノ様に迎えていただく。久々の再会を喜び、歩を進めた。お二人とご一緒するのはこれで三回目になる。これまで飛車角金爾といった、この界隈の名居酒屋をご案内いただいたが、今回はそんな中でも極めつけの店「アジト」を訪ねることになった。この店はお二人の仕事場からも至近の、まさにホームグラウンドだ。ご店主には無理を言って、少し早めに店を開けていただいた。

「前から一度訪ねてみたかったのですよ。やっと、それが叶いました」
 ご店主に挨拶を申し上げて席に着き、先ずは生ビールで乾杯。お通しは三種。これだけでも酒が進む。続くお刺身盛り合わせには各地の旬の魚が散りばめられていた。和歌山の鯵、愛媛の鯛、北海道仙鳳趾(せんぽうし)の生牡蠣、明石の蛸、鹿児島の寒鰤・・・彩りの木の葉が季節感を引き立てる。

 ここで、及第様はビールから日本酒に切り替え。ご店主のお任せで提供されたのは、八海山しぼりたて原酒「越後で候」。それを聞いて及第様が「おや」という顔をされた。
「このお酒、フレディさんにお持ち帰りいただくために用意したのと同じですよ!」
 お心遣いに恐縮しつつ、私も同じ酒をいただくことにした。芯がしっかりして均整のとれた味わい。後口はすっきりしている。お陰様で、家に帰ってからの楽しみも増えた。

 さて、料理は次々と続く。お刺身でもいただいた仙鳳趾生牡蠣のフライは大振りで身がふっくら。鱧の鳴門揚げはサクッと軽やかな食感だ。かぶら漬けと愛知・祖父江の炒り銀杏で箸休め。次なる酒は何だったか、興に任せて盃が進む。気分の盛り上がりに乗じて、とうとう私は予定変更となった。この日、自宅へ帰るはずが・・・!

 及第クレーマー様 大阪ブラリーノ様

 今回もまた、本当にお世話になりました。ありがとうございます。かねてよりお聞きした通り、アジトさんでは実に美味しい酒と肴を堪能することができました。身に余るおもてなしをいただき、深く感謝いたします。あらためて、お目に掛かれる日を心待ちにしています。

 これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • お通しは三種
  • お刺身盛り合わせ
  • 牡蠣フライ

もっと見る

5位

御菓子司 中村軒 (桂 / 甘味処、和菓子、かき氷)

2回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2017/03訪問 2017/03/29

老舗の茶屋の昼餉と茶菓子(中村軒 その弐)

 麦代餅(むぎてもち)は中村軒を代表する銘菓です。実を言うと、私はこれを最近まで存じ上げませんでしたが、横浜の方のレビューで拝見して知りました。粒餡をやわらかなお餅で半円状に包み、きな粉をあしらった素朴な和菓子です。シンプルですが材料を吟味して丁寧に仕上げられています。

 お餅の表面はすべすべしていて求肥のようにも見えますが、お店の解説によれば、つきたてのお餅を使用しているとのことです。元々、田植えの合間の間食に用いられたものなので、食感がしっかりして食べ応えのあるお餅を使うのでしょう。ただ、それが故に固くなるのが早いという難点がありますが、それを承知の上で昔のままの製法を守っています。

 寄り道せずに急いで家に帰り、早速いただきました。手に取ってみると思いの外に大きなお餅です。こんなところも農作業中の腹の足しという感じがします。そういえばお店には、やや小振りな「ミニ」も並んでいました。お餅の食感は、まさにもっちり弾力があります。少し固くなりかけていたのかもしれませんが、こういうコンセプトのお菓子だという気がします。近江の厳選された餅米の美味しさが直接伝わります。

 中に包まれている餡には驚きました。甘さ控えめなのですが、柔らかく炊かれた粒餡の軽やかな甘味が口の中でスッと消えてゆきます。この感触は、かき氷が溶けてゆくときのイメージそのものです。これまで味わったことのない甘さと言ってもよいでしょう。この餡は現在でも「おくどさん」で炊いているのだそうです。どんなに手間がかかっても伝統の味を受け継いでいこうという姿勢が、こんなところにも現れています。

 さりげなく飾ることなく、見えないところまで心を配り質を極める。この生真面目さが中村軒の味を形作っていると言えるでしょう。ぜひこれからも、伝統の菓子作りを守り抜いていただきたいものです。
 八条通を西に進み桂大橋に差し掛かると、右手に桂離宮の杜が見えます。橋を渡ると、間もなく左手には歴史を感じさせる店舗が現れました。中村軒は明治十六年(1883年)創業の老舗和菓子店です。今日は麦代餅(むぎてもち)をいただきに来たのですが、趣ある建物に惹かれて遅い昼食をとることにしました。現在の店舗は明治三十七年(1904年)の竣工。築百年を超えて今なお現役です。表には緋毛氈の縁台が置かれ、街道筋の茶屋の風情を醸し出しています。靴を脱いで奥に上がると、二間続きの座敷になっていました。

 奥の座敷は縁側を隔てて中庭に面しています。木枠のガラス戸は竣工当時のものなのか、ガラスの表面が微妙に波打ち、雨に濡れた中庭がしっとり映えます。甘味屋なので食事メニューはにゅうめんとうなぎ茶漬けの二種類だけです。にゅうめんに赤飯が付くセットをお願いしました。料理を待つ間、部屋のしつらえを拝見します。書院窓のある床の間に梅が活けてあり、軸の前には貝合わせが飾られていました。床脇には菓子を運ぶ際に用いたものか、黒塗りの木箱が置かれています。これは麦代餅にも関係あるのかもしれません。

 そうするうちに、にゅうめんが届きました。種は湯葉と温泉たまご、甘辛く煮たどんこ椎茸。花麩をあしらい薬味に三つ葉が添えてあります。これは京都の「しっぽくうどん」そのものです。澄んだお出汁は昆布と鰹節でしょうか。とても薄口なのですが、旨みの調和がとれていて深い味わいがあります。麺は細いながらもコシを残していました。このバランスはまさに絶妙と言えます。さらに、三つ葉がしゃくしゃくとアクセントを添え、竹筒の七味を振ると山椒の香る黒七味でした。赤飯は餅屋のおこわらしく、餅米のねばりがしっかりしています。

 時間も遅かったので昼食は軽く済ませるつもりでしたが、全部いただくと腹がくちくなりました。優しい味わいにほっこりして座敷の畳の上で寛いでいると、遠い昔に訪ねた親戚の家にいるような気分になります。雨も上がったようです。店先で麦代餅を買って帰るとしましょう。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

もっと見る

6位

大和田 (熱田神宮西、熱田、西高蔵 / うなぎ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2017/03訪問 2017/03/31

熱田の名店・大和田で鰻を学ぶ

「うなぎ大好き」http://unagi-daisuki.com/というWebサイトを主宰するレビュアの岸朝男さんが先日名古屋にお越しになり、熱田の老舗「大和田」を訪ねておられた。その際のレビューを拝見すると、とても雰囲気の良さそうな店だ。日頃から鰻に馴染みの深い方が高く評価される一品を、ぜひ私もいただいてみたいと思った。 だが、こちらは鰻など年に数えるほどしか口に入らない素人だ。この老舗の味を目利きはどのように受け止め賞味するのか、その道の達人にご指南を仰いでみたい。そこで常々「尾張の鰻博士」と目しているSG325師に同行のお伺いをたてた。すると師は「美味しい鰻のためならば」と快諾してくださった。これは面白い、いや、凄いことになってきた。

 今回の訪問にあたり、SG師はひとつだけ注文を付けた。それは、開店の15分前に店先へ並ぶこと。目指すはその日一番乗りだ。そこに師の真剣な思いを感じた私は、さらに早い時間に到着した。平日でもあり先客はない。まもなくそこへSG師も合流する。準備は整った。

 店先で開店を待ちながら、早速SG師のレクチャを受ける。こちらの店は未訪ながら、以前から注目していたという。
「今回の訪問にあたり過去の食べログレビュー(2017年3月28日現在)に目を通してみたのですが、まだ誰も鰻の産地には言及していないのです。」
師はそう言うと、ひと呼吸おいて何かを吹っ切るように続けた。
「投稿された写真を見る限り、私は鹿児島産だと思います」
えっと声が出そうになるのを辛うじてこらえ、あらためて私は師の顔を見た。写真で鰻の産地が判るのですか・・・?

 鰻の身のキメや、焼いた時の身の盛り上がり方などに産地の違いが現れるのだという。他にも判断の要素はあるのだろうが、私には理解できないことばかりだ。そうするうちに時間となって店内に招かれた。

 中庭に面した小上がりに席を取る。注文は鰻丼(上)、肝焼き、このわた、そして冷酒(純米 誠鏡)をお願いした。まずは、このわた、そして肝焼きをいただきながら盃を傾ける。誠鏡という広島の酒はとても素直で飲みやすい。中庸の味わいが、どんな料理にも合いそうだ。肝焼きは量がたっぷりあり鰻を待つ間のあてにちょうど良い。そうするうちに鰻丼の登場だ。

 焼き色は思いの外しっかりしているが、身の表面に焦げはない。これは、まめに返して焼き上げる熟練の技によるものだそうだ。タレは味加減も量も過不足なくまとまっている。これは好きなタイプ、本当に美味しい鰻だ。師は丹念に状態を吟味しながら、何かを確認するようにうなづいておられた。眼鏡の奥の眼光が時折光る。
「いかがでしょうか」
「うむ、なかなか美味しい鰻ですよ。だが、この焼きは非常に独特だ。」
特に皮目の焼き方に特徴があるらしい。ご当地らしく直焼きながらパリフワの食感とは違って、もちっとしている。火を御する達人の焼き手によるものだ。これもまた味わい深い。

 まだ平日の正午前だが、続々と客が訪れる。鰻と冷酒ですっかり気分が良くなったころには、周囲の席はすべて埋まっていた。長居は無用だ。次もあるので早めに席を立つ。お勘定をしながら師は今日の鰻の産地を尋ねた。会計のお姐さんが厨房に声をかけると、ご店主ともおぼしき板さんが出てきて丁寧にご対応いただいた。
「鰻の産地ですか、今日のは大隅、鹿児島県産です!
あっけにとられる私をよそに、師は満足気に深くうなづき店を後にした。

 見上げると空には雲ひとつない。師の横顔も、どことなく晴ればれとして見えた。

【注】本稿は一部内容を脚色しておりますが、この店の鰻の美味しさとSG師の慧眼は本当です!

  • 鰻丼(上)
  • 鰻は五切れ
  • 誠鏡純米(広島)

もっと見る

7位

銀座 (守山自衛隊前、瓢箪山、砂田橋 / 居酒屋、串焼き、焼き鳥)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2017/08訪問 2017/08/31

仕事帰りに「銀座」で...

 名鉄守山自衛隊前駅で途中下車して、線路沿いの古い居酒屋に立ち寄った。夕暮れ時、あかりが灯る店先の看板には「銀座」の文字。賑わいの絶えない東京のそれとは裏腹に、どこか寂しげで地元の常連しか来そうにない雰囲気が漂っている。ひとりだと気後れしそうなところだけれど、今回は地元在住のレビュア・まーさ21さんが案内役を務めてくれることになった。

 まーささんにお会いするのは1年振りだ。私の職場が変わったことを知った彼からLINEで連絡があった。「お近くですので、仕事帰りにどうですか」という誘いに、「ならば明日にでも」と返したところ、一度行きそびれたことのある「銀座」に行こうということで話がまとまった。どちらも酒呑みなので事が早い。

 店に入ると席は半分くらい埋まっていた。客が多い時には肩をすり寄せるようにして酒を酌み交わすこともあるそうだが、幸いこの日はゆったり腰掛けることができた。店内は古いながらも手入れが行き届いて清潔感がある。カウンターの奥に陣取って、オーダーは常連のまーささんにお任せすることにした。まずは瓶ビールと、とん味噌、若鶏もも焼を注文する。キリンラガーで乾杯すると、すぐにとん味噌の皿が出てきた。

 とん味噌というのはモツの味噌煮のことで、名古屋では普通「どて(土手煮)」と呼ばれる。柔らかく煮込まれていて実に旨い。若鶏もも焼は骨付腿肉を塩味でシンプルにいただく。炭火で焼かれた皮はパリッと小気味よい。二本目のビールとともに、きも焼と焼肉(豚バラねぎま焼のねぎ抜き)、とん焼(ホルモン)を追加した。串は一本80円、一皿3本ずつ提供される。串にからまる特製のたれは、絶妙の甘辛加減で大いに気に入った。

 まーささんには1年振りでお会いしたので、つもる話があった。お互いの仕事のこと、子供たちのこと、将来のこと。きっとこの店のカウンターでは、過去にも悲喜こもごもの人生が数多く語られてきたに違いない。そしてどんなときも、きっぷのよい女将さんが明るく見守っていたことだろう。そう思うとカウンターの面々からも、どこか家族のような優しさが感じられる。この空気に身を置きたくて、またここを訪ねることになりそうだ。

 今日は久しぶりに、情(なさけ)を感じる店に出会うことができた。
 あれこれ気遣ってくれたまーささんには、心より感謝申し上げます。

  • 線路沿いの小さな店
  • 看板にあかりが灯る
  • キリンラガーで乾杯!

もっと見る

8位

丸デブ 総本店 (名鉄岐阜 / ラーメン)

2回

  • 昼の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.6
    • | サービス 3.6
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2019/12訪問 2019/12/31

師走の丸デブ

 久しぶりに仕事で岐阜へ出向き、打ち合わせを済ませたら正午近くになった。この辺りでの昼餉となれば、二軒の思い当たる先がある。新たに登場するや、たちまち人気店となった新進気鋭の蕎麦店か、創業百二年を迎えるいにしえの中華そば・丸デブ。どちらも捨て難いところだが、この日は時間の制約もあったので後者を訪ねることにした。

 今回で三度目の丸デブ。初めて訪ねたのは六年前の暮れも押し迫った師走の寒い日だった。得意先への挨拶回りの中、上司のリクエストでこちらに立ち寄ったのだ。このことは前のレビューにも書いたな。

 前々回とは打って変わって暖かい日となったこの日、店の前に行列はなくひっそりしていた。営業中であることを確かめて店に入ると先客は一人。どこでもどうぞと迎えられて、隅っこのテーブル席に着いた。

「どちらにしますか?」

 そう訊かれて一瞬たじろいだ。そうだ、ここにはメニューが二種類しかない。だから「何を?」ではなく「どちらに?」となるのだ。そもそも常連客ならば、顔を見るなりどちらかをオーダーするのだろう。そのとき、向こうのテーブルで中華そばを啜っているお客さんの姿が目に入った。脇にはもうひとつ別の器を従えている。そうだった、前のレビューのコメント欄で、あるレビュアさんから「次は中華とわんたんのツーセットですよ」と釘を刺されていたのを思い出した。折角の機会だ。中華そばとわんたん、両方いただくとしよう。

 しばらくして、まずは中華そばが提供された。やや小ぶりな器ながら、フチまですれすれに溢れんばかり。ふっと立ち昇る湯気の向こうに、いつも通りのゆるい麺と穏やかな甘口のスープ。素朴な味わいの叉焼はしっかり噛み応えがある。そうしているうちに、わんたんも届けられた。ひとつ持ち上げると幅広のきしめんのようだ。レンゲですくってするりと口に運ぶ。中華そば以上に優しさに満ちた食感。そのせいか、スープは微妙に風味が違うような気がした。

 今回はツーセットで注文した中華そばとわんたん、どちらも量は決して少なくない。少々苦しかったが、食べ終えたときには晴ればれとした気分になっていた。初めて訪ねた六年前の暮れ、大きな躰をかがめては中華そばを啜りながら「旨いなあ」と繰り返していた上司の姿が目に浮かぶ。そのときの印象が強く残っているからか、この店には年の瀬の寒空と喧騒がよく似合う。少し早めの年越しそばに、満ち足りた気分で店を後にした。
 JR岐阜駅から北へ約1km。柳ヶ瀬商店街の一角に店を構える中華そばの老舗。大正六年(1917年)の創業以来、この地で百年の歴史を刻んできました。親しみを感じつつ、強烈なインパクトのある店の名は、一度聞いたら忘れられません。百年前にこれを考えた初代はセンスのある方だったのでしょう。その意図が的中したのか、地元では今も熱烈に愛されています。

 こちらを初めて訪ねたのは四年前の年の暮れでした。岐阜の取引先へ挨拶回りで出向き、職場の上司が丸デブに行ってみたいというので出掛けたのです。メニューは中華そばとワンタンのみで、どちらも400円。どんなものが出てくるかと思いましたが、日本蕎麦のような一風変わった中華そばといった感じで、実のところ、これが人を惹きつけてやまない理由は分かりませんでした。ただ、同席した上司が、ひたすら旨い旨いと言って食していたのが印象に残っています。

 6月の末に岐阜へ出向く所用があり、いま一度、丸デブを訪ねてみることにしました。午後1時を過ぎていたので、店先の待ち客はひと組だけです。まもなく店内に招き入れられ、奥の大きな卓で中華そばをすすっている年配の男性と相席で腰掛けました。常連とおぼしきその方は、時折、女将と言葉を交わしながら召し上がっていましたが、女将は程よく受け応えをしながら、話題があらぬ方向に向かうとそっぽを向いています。そのやり取りが可笑しくて、私も少し会話に加わりました。

 しばらくすると中華そばが届きました。やや小振りな高台のどんぶりですが、スープはなみなみと溢れんばかりに注がれています。まずスープをいただくと、いわゆる中華そばのスープとは違って和風鰹出汁の風味。生姜の香りも感じます。ガツンとくる旨さはありませんが、優しく穏やかな味わいです。中太のストレート麺は「かんすい」を使っていないのか中華麺の食感というより蕎麦粉の入らない日本蕎麦という印象で、和風のスープによく合います。豚腿肉のチャーシューは脂っぽさがなく、あっさりした仕上がり。すべて食べ終えると、じんわり染み出すような味に包まれて、私の心も穏やかになりました。

Romgray0718 さま

暑い日が続きますが、おかわりございませんでしょうか。

丸デブさん、ようやく訪ねることができました。今回は二度目ということもあって、多少、店の味を理解できたように思います。とはいえ、まだまだ初級者の私ですから、古くから馴染みの皆様からすれば、ほんの序の口でしょうね。

先日もお話ししましたが、この店の味もまた、万人が一度で美味しいと感じるのは難しいように思います。けれども、馴染みの方にとっては、まさしくソウルフードなのですね。特に、このホッとする感じが良いとも思いました。

気が付けば私も岐阜県で暮らして27年、そろそろ第二の故郷の味に親しんでおきたいところです。今度こちらへ帰郷される折には、ぜひとも、ご一緒いただけませんか。丸デブさんの味の真髄をご指南いただけましたら幸いです。

暑さ厳しき折、どうぞ、ご自愛ください。草々

  • 叉焼は噛み応えのあるタイプ
  • 幅広きしめんのような、わんたん
  • 中華そばは500円(税込)になった

もっと見る

9位

喫茶 ガーシュウィン (小泉、多治見、根本 / 喫茶店)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2017/06訪問 2017/06/18

Summertime...初夏の緑が輝くカフェ

 日曜日の朝10時、遅い朝食をいただきにガーシュウィンを訪ねた。

 通りを折れて細い田舎道を進むと、木々の緑にいだかれてたたずむ赤い屋根が見える。こげ茶色の羽目板をあしらってコテージのような趣の建物だ。枕木を並べたアプローチを通り店内に入ると、白い壁と木の素地を活かした温かみのあるインテリアに包まれた。マスターと奥様に迎えていただき、カウンターの端に腰掛ける。

 無垢のナラ材のカウンター。灯り取りの窓の向こうにも緑がそよいでいた。太い梁に吊り下げられたBOSEからは、モノラル録音の古いジャズヴォーカルが静かに流れている。初夏の空気に溶け込むアンニュイな旋律が、穏やかな休日の朝に心地よい。選曲にはセンスを感じる。それもそのはず。こちらの美人の奥さま(平野クミさんとおっしゃる)は、名古屋のライブスポットで名を馳せたプロのジャズシンガーなのだ。店の奥にはアップライトのピアノが置かれていて、時おりミュージシャンを招いてミニ・ライブなども催されるらしい。

 イルガチェフェ・モカのストレートとモーニングセットをお願いした。イルガチェフェというのはエチオピア産の生豆、よく知られるモカ・マタリはイエメン産の生豆。同じモカでも産地だけでなく精製方法が異なり風味も違う。モカの特徴である酸味は、イルガチェフェのほうがやわらかく上品な味わいなのだそうだ。もっとも私は柑橘類を思わせるようなモカ・マタリの強い酸味が好きなのだけれど・・・。モーニングはにんじんサンドとバタートースト、シナモントーストの3種類。これにポテトサラダとヨーグルトが付く。ドリンクの値段だけでいただけるのはありがたい。

 やわらかな香りのコーヒー・・・Softly, as in a Morning Sunrise(朝日のようにさわやかに)。これはジョージ・ガーシュウィンの曲ではないけれど、誰にも親しみやすいコーヒーはこの店の雰囲気に似つかわしいテイストだ。にんじんサンドは細かく刻んだにんじんを挟んで軽くトーストしてあった。描いたイメージとは違ってクセが無くシンプルで健康的。朝食にはちょうど良い。この店のモーニングでも一番人気のようだ。

 久しぶりの日曜日の休日、朝から素敵な時間を過ごすことができた。

  • 背後に緑を従える
  • 窓の向こうにも木々の緑
  • モーニングサービス

もっと見る

10位

精進料理 湯華庵 (揖斐、美濃本郷、北池野 / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2017/01訪問 2017/01/18

温泉と精進料理にいやされる

 この冬は年末からずっと暖かい日が続いていたが、さすがに寒の入り以降は寒くなってきた。温泉につかって縮こまった身体をいやすのも良いかと、揖斐郡池田町の湯華の郷(ゆげのさと)を訪ねた。食事処「湯華庵」でいただく精進料理とのセットがお得な日帰り温泉だ。

 こちらの施設はレビューで拝見するまで知らなかったが、オープンから3年少々のまだ新しい温泉のようだ。もっとも、ここを運営する弓削禅寺(ゆげぜんじ)は弘仁八年(814年)に最澄が開いたとされる古刹で、その縁起も温泉にまつわるものであるところをみると、元々この地には湯が湧出していたようだ。応徳二年(1085年)には白河法皇がこの寺の霊湯で湯治をしたという言い伝えもある。

 平日の昼前に到着すると、館内はひっそりしていた。土日は賑わうというが、これならゆったり寛ぐことができる。精進料理「竹の膳」と入湯のセットプラン(2,000円・税込)をお願いして、まずは湯を浴びる。湯殿は山の斜面の別棟に建っていて、階段の渡り廊下を登った先にある。中に進むと誰もいない。源泉掛け流しの湯を独り占めとは贅沢な気分だ。評判の泉質は柔らかな肌触り。内湯でしばらく温まって展望露天風呂に移ってみた。視界の先に岐阜の街、その向こうには濃尾平野が広がっている。

 湯あみをしてさっぱりした後は、大広間で食事にする。昼時とあってほとんどの席が埋まっていた。窓外に奥美濃の山々を望むテーブル席に着く。4人掛けのテーブルは天板が低くて落ち着いた印象だ。精進料理「竹の膳」は1,500円(税込)の料理とは思えないほど品数が多く彩りも良い。山菜の天ぷらはタラの芽や舞茸がサクッと軽く揚げられていて良い歯触り。滑らかなごま豆腐に、飛竜頭と蒟蒻の炊き物、青菜、けんちん汁。しばらくすると湯豆腐が程よく煮立ってくる。なるほど確かに精進料理だが決して貧弱ではない。むしろ充実した献立で、とても美味しくいただいた。

 温泉と料理で身体の芯まで温まり、心いやされる時を過ごすことができた。この辺り、春は桜が美しいという。初夏には弓削禅寺の紫陽花も楽しむことができる。季節毎の見所とともに、温泉と精進料理を味わうのも良い。

  • 精進料理 竹の膳(1,500円・税込)
  • メインの湯豆腐
  • 赤米のご飯

もっと見る

ページの先頭へ