まず、ふたを開けた瞬間に目に飛び込んでくるのは、堂々と中央に陣取った厚切りハムカツ。衣の黄金色とハムのピンクが、見るだけで「今日は当たりだ」と教えてくれるようでした。その横には唐揚げが控えめに並び、さらに麺がふんわりと詰められていて、主役級のおかずが二つも三つも入っている満足感がありました。
仕切りの向こうには、コールスローとポテトサラダという、白と淡い黄色のやさしい色合いが並んでいて、肉系のおかずとのバランスの良さがひと目で伝わってきます。視覚だけでお腹が鳴りそうになる、そんなお弁当でした。
箸を最初に伸ばしたのは、やはり厚切りハムカツ。ひとかけら持ち上げただけで、その厚みからずっしりとした手応えが伝わってきます。かじった瞬間、ガリッとした衣の食感のあとに、むっちりとしたハムの弾力が返ってきて、噛むほどにじんわりと油と塩気のうまみが広がりました。
薄切りでは味わえない、厚切りならではの「食べている」という実感があって、一口ごとに満足感が増していきます。ごはんと一緒に頬張ると、ハムの塩気がごはんの甘さを引き立ててくれて、箸が止まらなくなる組み合わせでした。
唐揚げは、外側がカリッとしつつも中はしっとりとしていて、噛むとじわっと肉汁がにじみ出ます。濃すぎない味付けで、何個食べても飽きない「お弁当の王道」のような唐揚げでした。厚切りハムカツの存在感に負けないどころか、交互に食べることでお互いのおいしさが引き立ち合っていました。
麺は、少し油が絡んだシンプルな味で、メインのおかずの合間に食べると、口の中を一度リセットしてくれるような役割を果たしてくれました。野菜や具材が少し混ざっていて、単なる添え物ではなく、きちんと「もうひとつの主役」として楽しめる一品でした。
アーリオオーリオは、にんにくの香りがふわっと立ち上るたびに食欲を刺激してくれました。オイルのコクとガーリックの風味が麺にしっかりと絡んでいて、一口食べるごとに気持ちが少しずつリフレッシュされていくような感覚がありました。
昼の仕事の合間に食べるお弁当なのに、ちょっとしたイタリアンを味わっているような贅沢感があって、他のおかずとの組み合わせも絶妙でした。ハムカツや唐揚げのあとに食べると、油の重さを感じさせないバランスの良さがありました。
コールスローは、シャキシャキとしたキャベツの食感に、少し甘めのドレッシングが絡んでいて、口の中をさっぱりとさせてくれました。こってりしたおかずが多い中で、爽やかな酸味がちょうどよいアクセントになっていました。
ポテトサラダは、ほっとするような家庭的な味わいで、なめらかなじゃがいもの食感に、ほんのりマヨネーズのコクが加わり、一口食べると心までゆるむような安心感がありました。ひとつひとつのおかずがしっかりしているのに、コールスローとポテトサラダがあることで、全体がやさしくまとまっていたのが印象的でした。
食べ終わるころには、お腹だけでなく気持ちまで満たされていて、「午後も頑張ろう」と自然と思えるような満足感がありました。厚切りハムカツのインパクト、唐揚げと麺の親しみやすさ、アーリオオーリオの香りの余韻、コールスローとポテトサラダのやさしさが、それぞれ違う方向から「おいしかった」という記憶を支えてくれているようでした。
一度きりの昼の配達弁当かもしれませんが、その日の気分や空腹具合、仕事の合間の空気感までも含めて、思い出すたびに少し元気になれるような、特別な一食だったのだと思います。