食べログに投稿を始めた当初、一食1万円を超えるお店には及び腰で、自分には縁のない世界だと思っていました。
しかし、物は試しと訪れたシェ・イノのシグネチャー、“マリア・カラス”に感銘を受け、ラフィナージュの肉料理にぶん殴られるような衝撃を覚え、すっかりフランス料理愛好家ヅラをするようになりました。
フランス料理はワインが好きなら避けて通れないですし、フランス料理の持つ「理屈っぽい側面」が理屈っぽい自分の性分にもなんだかんだ、しっくり来るものがある、ような気がしています。
一方で私は昔からイタリアが好きで、ワインも元々はイタリアから入りました。料理を覚えたのもパスタを作ることから。なので、イタリア料理はもっと身近なものとして好きで、元々は外食でいただくものではなく、自分で作るものとして好んで食べてきた料理です。
いずれにしても地に足着いたというか、食の伝統、フランスもイタリアも、各々の郷土料理・家庭料理にねざしたものを好むという点は共通しています。
理由? そのほうが、ワインに合うのです。
<基準>
★★★:私がその食のジャンルに求める要素の全てを最高レベルで返してくれる。
★★☆:私が求めているものを100%返してくれるわけではないが、秀逸な要素を感じており、リピートしている/したいと強く感じているお店。
★☆☆:好みかどうかはあまり関係がなく、そのジャンルで傑出しているものがあると認めていて、また訪れたいと思っているお店。
◇フレンチ
フランス料理における私の好みは2つ。
1つは、ワインが伴うこと。ペアリングがあるのであれば、そこに驚きがあるか。ペアリングが無い場合にも、料理に対するグラスワインの推薦ができるか。
もう1つは、フランス郷土料理やクラシックに対する敬意に根差した料理であるか。できれば、1皿、1皿にポーションが割り当てられているとなおよい。
ある意味で、蕎麦以上に情熱を傾けているのがフレンチ。何となれば私がワイン愛好家であることもありますし、もっと言えば、フランスのワインは基本的に何かしらの料理の存在を前提として作られているものが多いですし、逆もしかり。工夫を凝らした料理とワインの組み合わせがピタリとハマった時の快感を一度味わうと忘れられず、ワインを飲むためにフレンチレストランに通うようになりました。
そんなわけで思い入れのあるお店も多く、書いているうちにあの店も入れたい、この店も入れたい、と収拾がつかなくなりかけもしました。
ただ、仙台へ来て、東北地方のお店も幾つか訪れていますが、私自身の好みを外しても、フレンチに関しては東京が圧倒的だなというのが率直な感想。
料理で言えば傑出した才能で、東京にはない料理を楽しませてくれるお店があるのも事実ですが、ワインで苦しむお店が多いように思います。
そしてそもそも、フランス料理の生命線、ソースは、食材の劣化を覆い隠すもの、補うものでもあり、産地から近くて劣化が少ない地方では、敢えてフランス料理で戦わなくてもよいのだろうと思っています。
★★★(5)
ラフィナージュ(東京/銀座)
レカン(東京/銀座)
シェ・イノ(東京/京橋)
ル・マンジュ・トゥー(東京/神楽坂)
カンテサンス(東京/品川)
★★☆(7)
北島亭(東京/四ツ谷)
セザン(東京/東京)
フロリレージュ(東京/神谷町)
レ・セゾン(東京/日比谷)
AKI NAGAO(北海道/札幌)
オトワレストラン(栃木/宇都宮)
レストランオオツ(茨城/水戸)
★☆☆(13)
TROIS VISAGES(東京/銀座)
前芝料理店(東京/二子玉川)
カシュカシュ(宮城/岩沼)
NOURA(東京/浅草)
Au Deco(東京/広尾)
ラ・ペ(東京/日本橋)
ル・ブルギニヨン(東京/六本木)
銀座風月堂(東京/銀座)
カイユ(東京/小山)
アルティザン(神奈川/横浜)
ラ・ファソン・古賀(東京/代々木上原)
シグネチャー(東京/日本橋)
ヒヒヒ(宮城/仙台五橋)
◇イタリアン
フランス料理においては美食的なものを追求する傾向が多くあり、「ワイン」が料理と分かちがたく結びつけられているのに対して、イタリア料理においては少し異なるものを求めています。
イタリアにおけるワインの在り方は、フランスのように神経質ではありません。フランス人は「マリアージュ」という言葉でワインと料理の神秘を表現し、人と人が結婚することはありふれているが、幸福な結婚と不幸な結婚があるように、料理とワインにも幸福と不幸があることを表現した食文化です。しかしイタリアでは、地元のワインを大らかに地元の料理と合わせて飲んでいます。大まかに言って郷土料理と同じ土地のワインは矛盾しないように作られていますが、フランスワインの伸び方に較べるとだいぶ大人しい。
なので、イタリア料理においては、ワインはあれば望ましいが、極論、無くてもいい時があります。(もちろん、豚肉のローストなど、脂が多い料理をいただけば赤ワインが欲しくなる、というようなことはありますが)
そういう食とワインの在り方の問題もさることながら、イタリア料理は大らか、カジュアルでいいと思っています。現在のフランス料理の源流となった宮廷料理をさらにさかのぼるとフィレンツェ/メディチ家でお抱えの料理人が作っていた料理にたどりつくとかいう話もみたことがありますが、日本でいただけるイタリア料理は、その多くが家庭料理、郷土料理にルーツのあるものです。むしろ、南北に細長く、海にも面していて各地で採れる(獲れる)食べ物が違い、それぞれの土地で地産地消して成り立ってきた郷土料理をカジュアルにいただくほうが、イタリア料理「らしい」のではないかなと思っているところもあります。
もちろん、コース仕立てで、多数の品を堪能させてくれるお店も好きです。ですが、そういったお店はイタリア料理の欠かせない魅力である「大らかさ」を失っている店が少なくないと思っています。
しかし悩ましいのは、大らかさのあるお店と、美食的探究を行っているお店の食事のクオリティを比較すると、やはり探究を行うお店のほうが質のいいものを出していることもあり、これを上手く両立してくれるお店は無いものかと思っています。私は今のところ、そういったお店に出逢えていません。
長々と書きましたが、そんなわけで、イタリアンには★★★はなしです。しかし★★・★の10のお店は、どれも私のお気に入りのお店です。
★★★(該当なし)
★★☆(5)
Siamo Noi(東京/自由が丘)
三和(東京/白金高輪)
Malca(東京/外苑前)
ジュエーメ(秋田/大曲)
カーサ・デル・チーボ(青森/八戸)
★☆☆(5)
Avis de Vin Fort(東京/外苑前)
ピッツェリア・エ・オステリア・パドリーノ(宮城/仙台北四番丁)
トラットリア・ダ・ケンゾー(神奈川/横浜)
ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(東京/京橋)
Primo Passo(東京/京橋)