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夜の点数:4.7
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2025/10/17 更新
恵比寿駅の灯を背に、薄暗い階段を降りる。
地下の空気は、静かに温かい。
中央の厨房に、人の手が白い湯気を立てていた。
壺から出された和牛と野菜が、鍋の上で音もなく色を深める。
その香りは、遠い国の庭に咲く草の息に似て、やさしく長い。
大きな鍋に、鶏の骨の色をした湯が澄んでいる。
タッカンマリの白は、冬の朝の川面の白で、
箸を入れると、肉はほどけ、野菜は甘くなる。
辛さはささやき、出汁は胸の奥で静かに灯る。
食べるほどに、言葉は少なくなり、
湯気の向こうで、時間だけがゆっくりと立ちのぼる。
この店は、賑わいの手前で止まっている。
笑い声も、杯の触れ合う音も、どれも低い。
人の温度が、料理の温度と同じ高さにそろう。
それが心地よい。
食べ終えて席を立つと、指先にまだ出汁の温かさが残っていた。
階段を上がると、夜風がひんやりと頬に触れた。
灯の下で足を止めると、
鍋の白い湯気だけが、しばらく胸に立ちのぼっていた。